「ファーストマン」 人類初の月面着陸 

 「セッション」「ララランド」のヒット作品をうみ出し続けているデミアン・チャゼルの最新作ということで映画ファンは見ないわけにはいかない作品だろう。これまで監督してきた作品の共通点はジャズこれは間違いないだろう。監督自身が音楽学校出身でジャズ・ミュージシャンを目指していたほどなので、その感性が映画に反映されるのは当然だろう。しかし、今回は今までの2作とはガラッと変わり、宇宙がテーマの作品である。脚本家としてはパラノーマルアクティビティの続編を執筆していたが、宇宙という無音の世界を音楽で映画を色濃く見せていた監督が作るとはこれまた大きな挑戦に思える。

 主演は「ララランド」でお馴染みのライアン・ゴズリングでもちろんニール・アームストロング役である。この映画では生まれたばかりの娘が病気で亡くなってしまいその悲しさが映画全体をとおして雰囲気を出している。家族ではしゃいでいる場面でもどこか寂しく哀愁が漂っている。パイロットの訓練は過酷なもので360度縦横に回転する装置で気絶するまで回され終了後はトイレ吐きまくることや実験機で地球を飛ぶ訓練でも失敗し墜落して負傷する場面も出てくる。

 冷戦時代ソ連との宇宙開発競争によりアメリカはソ連に遅れを取っていた。ソ連に負けじとアメリカも宇宙開発に取り組み月に人間を到達させるという、まさに人類未踏の地へと歩む壮大な計画を初めた。人間が月に降り立つことは簡単なことではなく、劇中でニールアームストロングよりも優秀なパイロット達が先に月へ目指すための前段階の計画を実行していくがその途中で儚くも事故で何人も犠牲になってしまう。この様子は戦争映画をみているような先に前線に行ったものは死んでいく状況と重なるようにも感じた。