「アリータ:バトル・エンジェル」CGと現実の境界 ネタバレあり

 日本の漫画「銃夢」の映画化をジェームズ・キャメロンが行うということで話題になっていた作品。キャメロンの名が大々的に出ているもののキャメロン自身が監督するのではなく、ロバート・ロドリスが監督となったようだ。ロドリゲスも十分有名なすごい監督のはずなのにキャメロンの印象のほうが強い。思えば製作総指揮としてキャメロンの名はよく見るもののキャメロン自身が監督を努めたのはアバター以降ないようだ。なぜ自身で監督をするのではなく製作側に回るのか謎である。

 映画の内容は近未来の地球において火星連邦共和国(UMR)と地球で戦争が行われ火星が地球に敗れてから300年後の世界である。その地球では空中都市ザレムとそのザレムの真下で暮らすアインアンシティの二極化された地球である。アインアンシティの人々はザレムから降り注ぐクズ鉄を資材として生活をし、農作物などをザレムへと献上している。主人公のアリータはクズ鉄の山から偶然ダイソン・イドに拾われ、顔だけの休止状態から新しいボディを受け取る。ダイソン・イドは街の人造人間専門の医者でお金の無いものにも診断を行い、善意医者である。アリータは眠りから覚めたものの記憶を失い、自分が誰かもわからなかったがイドや部品パーツの調達人のヒューイとともにアイアンシティで生活するようになる。そんなある日、真夜中にイドが出かける様子を目撃し血まみれのコートや大きなカバンから夜中に何をしているのかが気になりあとを追う。女性を尾行していたことで街で噂になっていた連続殺人鬼かと勘違いしたアリータだったが、その逆で無法地帯とかしたアイアンシティで犯罪者を殺すハンターとして夜な夜な治療費を稼ぐためと殺された娘の復讐のため犯罪を倒していた。凶悪なグリュシュカらと戦うことになり苦戦するイドだったがアリータの格闘術により敵を倒す。極限の状況に初めて置かれたアリータは戦いの中で過去の自分を少し思い出す。自分が月で何者かと戦っていた記憶の断片を掴む。このことをきっかけにアリータもハンターになると決意しイドに話すも娘代わりのアリータにそのような危険なことを箚せたくなかったイドは反対する。そのことに逆上したアリータ一人ハンターの集まる酒場へ行きグリュシュカ討伐のお願いをするも聞き入れてもらえず、乱闘騒ぎになるが、そこへグリュシュカ本人が現れ戦いアリータは体をバラバラにされるも勝利する。

 

「ファーストマン」 人類初の月面着陸 

 「セッション」「ララランド」のヒット作品をうみ出し続けているデミアン・チャゼルの最新作ということで映画ファンは見ないわけにはいかない作品だろう。これまで監督してきた作品の共通点はジャズこれは間違いないだろう。監督自身が音楽学校出身でジャズ・ミュージシャンを目指していたほどなので、その感性が映画に反映されるのは当然だろう。しかし、今回は今までの2作とはガラッと変わり、宇宙がテーマの作品である。脚本家としてはパラノーマルアクティビティの続編を執筆していたが、宇宙という無音の世界を音楽で映画を色濃く見せていた監督が作るとはこれまた大きな挑戦に思える。

 主演は「ララランド」でお馴染みのライアン・ゴズリングでもちろんニール・アームストロング役である。この映画では生まれたばかりの娘が病気で亡くなってしまいその悲しさが映画全体をとおして雰囲気を出している。家族ではしゃいでいる場面でもどこか寂しく哀愁が漂っている。パイロットの訓練は過酷なもので360度縦横に回転する装置で気絶するまで回され終了後はトイレ吐きまくることや実験機で地球を飛ぶ訓練でも失敗し墜落して負傷する場面も出てくる。

 冷戦時代ソ連との宇宙開発競争によりアメリカはソ連に遅れを取っていた。ソ連に負けじとアメリカも宇宙開発に取り組み月に人間を到達させるという、まさに人類未踏の地へと歩む壮大な計画を初めた。人間が月に降り立つことは簡単なことではなく、劇中でニールアームストロングよりも優秀なパイロット達が先に月へ目指すための前段階の計画を実行していくがその途中で儚くも事故で何人も犠牲になってしまう。この様子は戦争映画をみているような先に前線に行ったものは死んでいく状況と重なるようにも感じた。

 

ボディーガード イギリス政府の裏側

 舞台は現代ロンドン。移民の受け入れやテロの危険性の増加などから新しい国民を監視する法律を通そうと女性大臣ジュリア。そんな世間での注目の的になっている人物の護衛を務めることとなった主人公のデビッド・バット。過去にアフガニスタン戦争への派兵の経験があり、そのことが今もトラウマになっているが周囲にはそれを隠し警察官とイギリスのために命を捧げているもの。物語のはじめは列車爆発事故をテロリストを説得することで未然に防ぐヒーローとして描かれる。しかし、そんなヒーロー像は早くも一話目で薄らぎ妻と別居生活をし、アパートで一人さびしく酒を飲みときおり精神の不安定さを表す。

 ボーディーガードというからにはマッチョな男が華麗に要人を警護するヒーロー的な作品かと思っていたがそんな想像とは裏腹に、イギリス議会を渦まく闇が露呈するハウスオブカードのような暗さ溢れるドラマだ。

苦悩するスター 「ボヘミアン・ラプソディ」

 フラッシュ・ゴードンのテーマ曲が自分の中では一番印象的なクイーンのフレディーの伝記映画。クイーンの曲は誰しも一度は耳にし人によって代表曲をあげた時に分かれる印象がある。それだけヒット曲を作り出し、世界中で愛されるバンドなんだということだろう。クイーンのリーダーであるフレディーの苦悩や圧倒的な個性についてなんとなく分かる映画だった。物語の流れとして終盤まではずっと駆け足気味でバンドとしてのメジャーデビューの話やメンバーとの関係なんかの話はかなりあっさりと省かれている印象。フレディーが何となく入ったバンドが適当にアルバムを作ったら偶然凄腕プロデューサーの目に止まりトントン拍子で進んで行く。実際はどうかはファンではないので分からないが映画としてはダイジェストに感じられた。

 この映画でのテーマとしてはセクシャルマイノリティーとしての苦悩と家族とは何か孤独な自分への向き合い方をフレディーが悩んでいたことを伝えたかった。クイーンの曲の誕生の秘話やラストの20分間の演奏シーンなどでクイーンについて見れたとこは良かった。ゲイとしてフレディーは自覚はずっとなかったがファッションセンスなどから今見ている私たちからすれば明らかにゲイっぽいが当時としてはまだ薄いものがあったのかとも感じられた。気になったのはポールというキャラクターがあまりにも憎まレ役すぎてあそこまで私利私欲のためスターを使う人間がいるのかと驚いた。フレディー印象的なちょび髭や髪型がポールから影響を受けたものだと知った。

 劇中で猫がたくさん写り子供を持てなかったことへの反射として猫に愛情を注いでいたのだろうか。メアリーとはフレディーが男と関係を持ったことが原因で別れたにせよライブ後に彼氏を紹介するシーンは胸にくるものがあった。

 

女の子は肉が好き。 「RAW 少女のめざめ」 ネタバレあり

 道を走っている車に草陰から人が飛び出し、車側が交通事故に遭う場面から物語は始まる。ベジタリアンのジュスティーヌは獣医学へ入学し、新人いびりに耐えながらルームメイトのゲイと結ばれちゃう医者を目指す女子大生の青春ラブストーリーとはいかず...

 肉食系女子の血なまぐさい姉妹喧嘩なホラーというものすごいパワーのあるストーリー。ベジタリアンだったジュスティーヌは肉を食べたことがなく、野菜のみの生活を過ごしていたところ新人イビリの一貫でうさぎの腎臓(生)を食べさせようぜとなんともおしゃれなフレンチ料理を食べさせられる事になってしまったジュスティーヌ。それに耐えかね姉のアレックスに助けを求めるも逆に無理やり食べさせられてしまう。姉として妹がいじめに遭うのを防ぐための厳しさかと思いきや、その日から体に蕁麻疹が現れ異常に食欲がお旺盛になってしまう。今までは肉など食べたこともなかったのに生に胸肉までぺろりんちょという暴食っぷりにルームメイトのアドリアンもドン引き。(妊婦が夜中に冷蔵庫のものを食べ漁るドラマでよく見る風景)パンクな姉に自分磨きを進められ半ば強引にブラジリアンワックスをさせられ、あまりの激痛に足をばたつかせたところ誤って姉の指を切断してしまう。(切れ味の良すぎるハサミも悩みどころダネ)

 姉の指をあとから接合させるため冷やせる容器を探すもパンクな姉は料理などするわけもなくボールも皿もない。悩んだジュスティーはえ~い食べちゃえと血をぺろりんんnこの味は!!!という驚きからガブガブと食べちゃう(姉が料理好きなら良かったのにね)そしてケンタッキーのフライドチキンのごとくシャブリついていたところボケの中から姉のシルエットがちらり、これは気まずい。だって妹が自分の指をがりがりかじっていたらね?誰だって気まずいですよね。

 そんなこんなで病院へ場面チェンジをし、どう言い訳をしようかと悩んでいたとこ姉が犬に食われたと冷静に返答。案外姉さん冷静だなと思ったのもつかの間なんと冒頭に事故を引き起こしていたのは姉だと判明。姉もジュスティーヌと同じ食人好きな美食家だと分かり、冷静に犬に食われたといえたのも納得というわけですね。(それなのに自分の指切断で気絶するのかと...)

 お互いに食人好きだと判明した姉妹だったが妹の行動に苛ついたのか酔っ払ったジュスティーヌに死体を餌だと思わせて噛みつかせようとするやばすぎる映像をネットにアップ(SNSって怖いね)

 それにキレたジュスティーヌはみんながん見ている中姉とまさに血みどろの噛み付き合い。傷を負ったジュスティーヌはルームメイトのアドリアンに励まされ就寝。朝起きると気持ちよく眠っているアドリアン。だが、何か様子がおかしいいと布団を剥がしたところ足が食われまっくているアドリアンの姿が...。自分が食べてしまったのかと混乱するが姉が床で放心状態になっている姿を発見。姉がアドリアンを食べてしまったのだった。

 牢屋に入り捕まってしまったアドリアンと別れたあと、おそらく獣医学はやめてしまったジュスティーヌが父親と会話していたところ食人は自分たちのせいではないと。原因は...というと体がズタズタにされている父親の体...

 ラストの描写はおそらく食人好きだったが奥さんと出会いなんとか欲を満たそうと自傷行為にいったたということですね。

ジュラシック・ワールド 炎の王国 前作との比較

ジュラシックワールド 炎の王国

 前回から数年後ジュラシックワールドは人間の管理から外れジャングルかしていたが島の噴火により再び絶滅の危機に瀕する。(つくづく不運な恐竜さんたち...)そこで、ワールドの元責任者であるクレアが島の恐竜を救うべく再びオーウェンと共に恐竜を救うべく島へと向う。

 今回の映画は続編としては異例な作品に思う。前作のジュラシック・ワールドは世界的な大ヒットを収めた。そのため一般的な作品ならば前作を上回るスケール感で恐竜が現代の世界に生きている様子を映し出すのかと思いきや前作以上のスケール感のあるシーンは前半の噴火でマグマが迫り来るなか島から脱出する恐竜のシーンのみであった。そこからは森に囲まれた洋館の中でひっそりと恐竜の闇オークションを行うというベタ過ぎる展開だった。

 ここでこの映画の評価が分かれる部分であり、自分としてはこじんまりとしすぎていて前回の生き生きと生きる恐竜の姿が減ってしまい、いまいち乗れなかった。

 今回の目玉のインドラプトルも前回のインドミナスレックスよりもスケールが小さくなり見た目や襲う演出が「モンスターズインク」のランドールのように見えた。インドラプトルから主人公たちが襲うシーンが長くハラハラはしたものの恐竜映画というよりエイリアンを見ているかのように感じてしまった。

 極めつけはラストシーンの恐竜開放だろう。クレアが恐竜を救いたい気持ちはあるものの自分が前作で経験した恐竜による人間への捕食を目の当たりにしその反省からボタンを押すのをやめるキャラクター的な成長を見せる良いシーンだったが最終的に門は開けられてしまう。その門を開けた本作から登場のメイジーであるがクローン人間という新たな設定を追加し、そのこが自分と同じクローンである恐竜は悪くないので見殺しにすべきではないという理由でバタンを押す。この理由がただ感情に訴えるだけの残念な言い訳で恐竜が悪くないというのはクレアも同じ理由で自分がクローンかどうかの問題なんて関係がない。問題となっているのは恐竜が野放しで世界に放たれ生態系や人間に深刻な被害を及ぼすから逃さなかったのに的外れな理由でドヤ顔でボタンを押されても唖然とするだけだった。

 つらつらと不満を書いたが次回作は恐竜が普通に地球に暮らす世界での話になると思うので楽しみではある。

未来のミライ 感想jonta0101のブログ

未来のミライ

3歳のクンちゃんは今までは一人っ子で両親の愛を一人占めできていたが妹のミライが生まれたことにより、両親は妹を可愛がるようになってしまい、妹に対して嫉妬を抱く。そんな時に庭の木の力で犬と対話できるようになり、両親にかまってもらえなくなった穴を埋めてもらえる。そこからクンちゃんが困難に当たると過去未来へ行き両親や祖父から教えをもらうことで成長していく。

家族の大切さを伝えたいのか兄弟愛なのか先祖愛なのかいまいち何を伝えたいのか伝わって来ない作品だった。クンちゃんは両親に愛されたくて未来をいじめていたけれど未来のミライとの出会いによっていじめなくなったわけではなくその後もいじめていた。ラストの近未来のホラーでも謎の描写が多く分かりづらい。もうちゃっとサマーウォーズやトキカケのように目的をもってクンちゃんが行動してたら良かったように思う。

ミライちゃんが来たのもお雛様を片付けるというしょうもない理由で無駄に長いシーンは退屈だった。ネットで散々言われていることだがクンちゃんの声がとても三才児には思えず最後まで違和感を覚えた。